じんじんの服薬指導風景⑤

薬剤師

アスリート薬剤師のじんじんです。

じんじんのブログにおいで頂きありがとうございます。

じんじんの服薬指導風景シリーズも第5弾まで来ました。

なかなか一つのことを続けることができないじんじんにしては優秀な方だと思います。

そんな記念すべき(?)第5回目は双極性感情障害、あるいは躁うつ病と呼ばれる疾患をお持ちの30代女性とのやりとりです。

これまでと同様、ご注意いただきたいことを再掲させていただきます。今回もお読みいただく際は以下の点はご理解ください。

  • プライバシーに配慮して、趣旨を逸脱しない範囲内で一部脚色等を施しています。
  • あくまでもじんじんの個人的な経験であり、すべての方に一般化されるものではありません。
  • 患者様お一人おひとりで状況は異なりますので、ご自身に置き換えて読まれる場合にはご注意ください。
  • 本記事の内容を参考にして頂いたり、実際に真似て頂いたりした際に生じた結果について、当ブログおよびじんじんは一切の責任を負いません。

じんじんの服薬指導風景⑤〜双極性感情障害の30代女性のケース

今回は双極性感情障害の30代女性のケースです。

双極性感情障害というのは、別の病名として躁うつ病とも言われます。

簡単に言えば、テンションが高くて活動的な”躁”の時期と、気分が沈んで意欲低下などが生じる”うつ”の時期を繰り返す病気です。

芸術家や作家などクリエイティブな才能をお持ちの方の中にもこの病気をお持ちの方が少なくないようです。

今回の女性は、躁状態はあまり派手でなく、「限界を超えて頑張りすぎる」という感じで、うつ状態は「死を考える」ような方で、カルテでは双極Ⅱ型障害となっています。

現在は無職で、これまで職を転々とされています。

躁状態の時に就職して頑張って仕事をして、周囲から比較的高い評価を得られるのですが、一定期間の後にうつ状態となり、休職・退職というパターンを繰り返している方でした。

じんじんとの付き合いも数年に及ぶ方です。

患者さん:じんじん先生、私またやっちゃいました。

じんじん:こんにちは。やっちゃったって、何を?

患者さん:薬の飲み忘れ〜。1ヶ月前にもらった薬があと2週間分は余ってるんですよ。

じんじん:それだけ残ってるんだったら、それはすでに「飲み忘れ」の領域を超えてないですか?

患者さん:だって調子良かったんだもん。それで忙しかったし。

じんじん:まぁ、調子が良かったこと自体はいいことなんだけど、これまで同じ失敗してきましたよね?お薬飲むのを忘れ続けて、調子を崩すという…。

患者さん:そうなんだけどね〜。あとは、薬飲んでたら妊娠できないって聞いたから。

じんじん:そっかぁ〜。妊活を考えてる?

患者さん:やっぱり子供欲しいな〜って思って。

じんじん:それは主治医の先生に言いました?

患者さん:言える訳ないじゃん。薬をちゃんと飲んでいないっていうだけでも怒られそうなのに、その上子供が欲しいなんて言ったらヤバいでしょ。

じんじん:でも大事なことですよ。〇〇さんの気分の安定のために飲んでもらっている薬は、妊娠前にはある程度減らしておいた方が良い薬でもあるし。

患者さん:せっかくじんじん先生を信頼して言ったのに、そんなお医者さんみたいなこと言って。お医者さんと一緒のこと言うなら薬剤師さんなんていらないじゃん(怒)

じんじんの服薬指導ポイント

今回は失敗例です。

薬剤師としては患者さんにしっかりお薬を飲んでもらいたいし、安全にお薬と付き合って欲しいと願います。

そのため、患者さんに厳しいことをお伝えすることもあります。

今回は患者さんの妊娠希望についての話題でした。

双極性感情障害の治療に使われるお薬の一部は、妊娠中にはあまり服用して頂きたくないものがあります。

また、妊娠中に服薬する必要がある場合でも、できるだけ服用量を減らした方が良いお薬もあります。

そんな思いで患者さんに説明したつもりでしたが、患者さんにとっては「信頼してたのに、裏切られた」と感じられたようです。

振り返ってみれば、「医師には言いにくいけど、薬剤師のじんじん先生には言える」ということだったのでしょう。

それにも関わらず「主治医の先生に言いました?」と聞いてしまったのです。

もちろん、主治医に言うことはとても大事なことです。

でも、患者さんが妊娠を希望しているとおっしゃった時に、じんじんはそれを受け止められていませんでした。

「そうなんですね。お子さんが欲しいと考えておられるんですね」とか、

「妊娠・出産に向けて色々考えていかないといけないこともあるので、一緒に取り組んでいきましょう」

というようなことをお伝えすべきだったなと反省します。

今だったら、「そうなんですね。妊活に向けて一緒に取り組んでいきましょう。でも大事なことだから主治医の先生にも知っていてもらいたいんだけど、ご自身で言えそうですか?それともまずはじんじんから伝えておきましょうか?」とお伝えしたいと思います。

実際には次の診察の時に患者さんがご自身で主治医に妊娠希望のことをお話しされました。

今は妊娠に向けてお薬を調整しているところで、比較的順調に経過しておられます。

そして有難いことに、じんじんに対してもこれまで通り他愛もない話から真剣な相談までしていただいています。

今回の患者さんとの経験の後、じんじんは「先生には言いました?」という言葉を極力使わないように意識しています。

ちょっとした言葉で患者さんとの信頼関係にヒビが入る可能性があることを再認識させていただいた服薬指導でした。

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