こんにちは。
アスリート薬剤師のじんじんです。
今回も服薬指導風景シリーズです。
ただ、今回は具体的な患者さんとのやりとりではなく、じんじんが患者さんと接する時に意識していることを共有したいなぁと思っています。
薬剤師さんで「コミュニケーションが苦手だなぁ」と感じておられる方がおられたら少しは参考にしていただけるかもしれません。
いまどきの薬剤師像?
近年の薬剤師は「対物業務」から「対人業務」へシフトすることが求められているようです。
皆さんにとって薬剤師ってどういうイメージでしょうか?
多くの方にとっては「薬局の中でお薬の数を数えて揃えて袋に入れて、説明書と一緒にくれる人」といった感じでしょうか。
一昔前まではまさにその通りだったのかもしれません。
しかし、最近は『いかに患者さんと接するか』が重要だと考えられています。
その反面……
「薬局に行ったら、薬剤師から色々聞かれて面倒だった」
「病院で聞かれたことを薬局でもう一回聞かれた」
その上……
「薬剤師に薬について心配なことを尋ねたら『先生に聞いてください』と言われた」
「(私が〇〇の薬を飲んでいることがわかった途端)薬剤師の態度が冷たくなった」
「薬剤師に副作用について尋ねたら『多分大丈夫だと思います』と言われて、さらに心配になった」
薬剤師としては耳が痛い言葉ではないでしょうか?
しかも、こんな状況では「対人業務」と言われてもなかなか上手くいく気がしませんよね。
じんじんの対人業務
じんじんは精神科の病院で勤務しています。
精神疾患をお持ちの患者さんは、身体疾患だけの患者さん以上にコミュニケーションが重要になります。
もちろん、すべての精神疾患患者さんに当てはまる訳ではありませんが、コミュニケーションが苦手な方が少なくありません。
あるいは、さまざまな悩みを抱えておられて、それを誰かに聞いてもらいたいという気持ちをお持ちの方も多いようです。
じんじんは、これまでの服薬指導風景シリーズでもお伝えしてきましたが、一番大事にしているのが「傾聴」です。
これは精神科系の医療機関に勤めると必ずと言っていいほど耳にする言葉です。
でも、この傾聴が意外と難しかったりします。
じんじんは、まずは患者さんのおっしゃることを遮らずに聴くようにしています。
そして心の中で「そういう風に感じているんですね」「そんな風に困っているんですね」という相槌を打ちます。
もちろん、会話ですから言葉にして相槌を打つこともあります。
そして、自身の経験ではなかなか理解し難いことをおっしゃられることもあります。
特に一部の精神疾患では症状として幻聴や妄想などが生じますので、患者さんのおっしゃることをそのまま理解するのが難しい時があります。
でも、それを否定してしまうと患者さんは
「せっかく言ったのに、わかってもらえなかった」
という気持ちになってしまいます。
仮に患者さんのおっしゃることが現実的には理解し難いことであっても、『その患者さんがどう感じているか』に寄り添うことはできると思います。
- 患者さんのおっしゃることを遮らずに聴くこと
- 患者さんのおっしゃることに寄り添うこと
これだけで多くの患者さんとのコミュニケーションが円滑に進んでいきます。
そしてひとしきり傾聴した後で、じんじんが伝えたいことをお話しします。
その内容は、もちろんお薬の働きや飲み方、副作用などについての内容が主ですが、実際にはそれ以外の内容のお話をさせていただくことも多いです。
特に、定期的に通院しておられる患者さんで、お薬の内容に変更がない場合などは、患者さんからも日常的な困りごとなどのご相談をいただきます。
そういった場合には、じんじんはカウンセラーではないので、「専門家としてではなく、1人の人間として」と前置きをしてお話しさせていただきます。
じんじん自身の過去の体験や、他の患者さんから教えていただいたこと、勉強会などで学んだことなどフル活用です。
そして忘れてはいけないのが『話したくない患者さん』の存在です。
本当にきつい時は何も話したくないものです。
そんな時にあれこれお尋ねするのは感心しません。
じんじんは患者さんの様子を見ながら「今日はかなりきつそうだな」と感じた日には、最低限の情報を一方的に伝えるだけにします。
そして最後に「もし、気になることや心配なことがあったらいつでもお電話くださいね」とお伝えします。
患者さんの状態を観察して、積極的にお話しする時間をとるのか、あるいは控えめにするのか、はたまた最低限の情報提供にとどめるのか、これらの判断はどうしても経験で培われるセンスかもしれません。
このセンスを身につけるためには、普段から患者さんと接する時間を少しでも多く作ることが大事だと思います。
まとめ
- 患者さんは病気については一番の経験者
- 患者さんのお話はしっかり傾聴
- まずは患者さんの気持ちや辛さに寄り添うこと
これを意識しながら患者さんと日々接していくことで、センスが身についていきます。
そうすると患者さんとの関係はより良くなっていきますし、信頼関係も作られていくはずです。
結果として、患者さんにとっても薬剤師にとっても良い関係性になっていくのではないでしょうか。
じんじんは時々、「あれ?私は薬剤師なんだけど、今日は患者さんの人生相談に乗ってばっかりの1日だったなぁ」という日がありますが、これがじんじんの思う薬剤師の醍醐味だったりもするのです。
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