じんじんの服薬指導風景⑪

薬剤師

こんにちは。

アスリート薬剤師のじんじんです。

今日はまた服薬指導風景シリーズです。

今回もお決まりにはなりますが、以下についてはご理解ください。

  • 、趣旨を逸脱しない範囲内で一部脚色等を施しています。
  • あくまでもじんじんの個人的な経験であり、すべての方に一般化されるものではありません。
  • 患者様お一人おひとりで状況は異なりますので、ご自身に置き換えて読まれる場合にはご注意ください。
  • 本記事の内容を参考にして頂いたり、実際に真似て頂いたりした際に生じた結果について、当ブログおよびじんじんは一切の責任を負いません。

じんじんの服薬指導風景⑪~この薬って強いの?~

今回は先日お会いした30代の不安障害の男性患者様とのやりとりです。

この患者さんは通院し始めて約2か月。

主な困りごとは”不安”です。

特定の場面が不安だったり、漠然とした不安があったり……。

ご自身の病気に対する不安や治療の先行きに対する不安、将来に対する不安も口にされます。

不安が強くて日常生活にも様々な支障をきたしていて、お仕事も休みがちのようです。

夜にベッドに入ってからも色々と考えて不安になってしまい、なかなか寝付けないという睡眠に関する困りごともおっしゃられます。

この日の診察で、睡眠のためのお薬が変更になりました。

じんじん
じんじん

今日は眠りのお薬が変更になりました。

患者さん
患者さん

最近は前より眠れなくなっていて……

じんじん
じんじん

そうなんですね。寝つきが悪いですか?それとも途中で起きる?

患者さん
患者さん

寝付きかな。一回寝てしまえば朝まで寝れるんですけど。

じんじん
じんじん

これまで飲んでいただいていたAというお薬からBというお薬に変えますね。

患者さん
患者さん

その薬って強いですか?

じんじん
じんじん

強いというと?

患者さん
患者さん

いや、副作用とか……。

クセになるとか、認知症になるとか。

じんじん
じんじん

睡眠のお薬の副作用が気になっておられるんですね。

これまで飲んでいただいていたAというお薬と比べて、副作用が特に強くなる心配はいらないと思いますよ。

もちろん個人差があるので、絶対ということは言えないのですが。

患者さん
患者さん

じゃあ同じくらいの強さってことですか?

じんじん
じんじん

多くの方から睡眠の薬の強さについてお尋ねを頂くんですが、ちょっと難しいんですよ。

睡眠の薬については、「強い」「弱い」というよりも、効果の持続時間が「長い」「短い」とか、効果の出方が「速い」「ちょっとゆっくり」といった分け方をするんです。

患者さん
患者さん

へぇ~。じゃあ今度の僕のはどうなんですか?

じんじん
じんじん

今回のお薬は、効果は比較的速やかに得られて、でも効いている時間はそんなに長くないですね。

患者さん
患者さん

それが良いんですか?

寝つきが悪いとのことですので、速やかに効果が得られるお薬が良いと思います。一方で、その後は朝まで眠れるとのことですので、あまり長く効くタイプのお薬だと翌朝に眠気が残るかもしれませんしね。

そういうものなんですね。

じゃあ今回はこの薬でやってみますね。

じんじんの服薬指導ポイント

  • 「このお薬は強いですか?」には要注意。
  • 「強い」・「弱い」は効果の話なのか、副作用の話なのかを確認する必要がある。
  • 「強い」が心配な方だけでなく、「強い」を望んでいる患者さんもいる。
  • 安易に「強い」「弱い」という言葉を使って説明しない。

じんじんはこの「強いですか?」という質問を過去に何度も受けてきました。

そのたびに患者さんの質問の真意をしっかり確認します。

というのも、新人だった頃に痛い失敗をしたことがあるからです。

患者さんからの「強いですか?」という質問に対して、『そんなに強い薬じゃないから安心して飲んでいただいて大丈夫ですよ』と回答した時がありました。

そしたら患者さんから「前の薬では効果が感じられなかったから強い薬に変えてもらいたかったのに。強い薬に変わってないなら別に要りません」と言われてしまいました。

この時、じんじんは勝手に患者さんが「強い薬=副作用が強くて怖い→飲みたくないなぁ」と感じていると思っていたのです。

この患者さんはそれ以降受診されることはありませんでした。

じんじんの思い込みで患者さんの治療のチャンスを奪ってしまったケースで、ずっと忘れられないエピソードです。

薬剤師さんの立場でこれを読んでくださっている方はぜひ患者さんの質問の真意をしっかり確認してみてください。

そして、患者さんの立場でこれを読んでくださっている方は、できれば「強いですか?」と尋ねるときにもう少しご自身が心配に思っていることを付け加えてください。

今回の服薬指導風景を描きながら、「強いですか?」の質問に限らず、患者さんからのすべての質問に対して、患者さんの真意を汲んで、適切なお返事ができるようこれからも精進していこうと思うじんじんでした。

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