じんじんの服薬指導風景16

薬剤師

こんにちは。

アスリート薬剤師のじんじんです。

今回は久しぶりに服薬指導シリーズです。

これまで同様、以下の点をご理解いただいた上でお読みください。

  • プライバシーに配慮して、趣旨を逸脱しない範囲内で一部脚色等を施しています。
  • あくまでもじんじんの個人的な経験であり、すべての方に一般化されるものではありません。
  • 患者様お一人おひとりで状況は異なりますので、ご自身に置き換えて読まれる場合にはご注意ください。
  • 本記事の内容を参考にして頂いたり、実際に真似て頂いたりした際に生じた結果について、当ブログおよびじんじんは一切の責任を負いません。

俺は薬は飲まんぞ

さて、今回ご登場いただくのは60代後半の男性患者さんの山本さん(仮名)です。

山本さんはずっと自営業をしてこられた方でした。

ある日仕事中に腰を痛めて、数日間仕事を休まれたそうです。

腰の調子も落ち着いてきたので、そろそろ仕事を再開しようと思っていたところ、なぜか仕事が手につかないくらい不安になってしまったということでした。

じんじん
じんじん

山本さん、こんにちは

山本さん
山本さん

どうも

じんじん
じんじん

前回は不安を軽くするようなお薬を2種類出していましたが、今日は1種類だけですね。

山本さん
山本さん

あぁ。

1個しか飲まんかったから。

じんじん
じんじん

そうでしたか。

1種類しか飲まなかったのには何か理由があるんですか?

山本さん
山本さん

俺は薬に頼りたくないんだよね。

だって、俺はずっと自力で仕事して、生活してきたし、薬なんて飲んだことなかったんだよ。

じんじん
じんじん

お薬に頼るのは嫌なんですね。

あとは、これまでお薬を必要とするようなこともなかったし、抵抗があるということですか?

山本さん
山本さん

まあ、そういうことかな。

あと…。

いや、いいや。

じんじん
じんじん

そうですか…。

お薬を飲むのに抵抗がある方って割と多いんですよね。

皆さん理由も様々ですし。

山本さんも、何か気になるところがあるんじゃないですか?

山本さん
山本さん

う〜ん。

まぁ、あんただから言うけど…。

なんか、薬って怖いんだよね。

情けない話だけど、飲むのが怖くてさ。

この歳になってこんなこと言って恥ずかしいんだけどさ。

じんじん
じんじん

なるほど。

言いづらいことを教えてくださってありがとうございます。

でも、「お薬が怖くて飲めない」っておっしゃる方も結構おられるんですよ。

具体的にはどんなところが怖いんですか?

山本さん
山本さん

なんて言うかなぁ。

薬を飲まないと生活できない自分になってしまうんじゃないかとか、

一生飲み続けなきゃいけないんじゃないかとか。

じんじん
じんじん

お薬なしでは暮らせなくなることとか、一生飲み続けないといけないんじゃないかって心配になるんですね。

そうですよね。心配ですよね。

でも、結論から言えば『そんなことないですよ』ということになります。

むしろ、必要な時にしっかりお薬を飲むことで、結果的に早くお薬から卒業できるケースが多いんですよ。

山本さん
山本さん

そうなの?

近所のおばさんから「薬は飲み始めたら一生続くのよ!」って言われたんだけど。

じんじん
じんじん

もちろんそういうこともあると思います。

でも、いま山本さんにお出ししているお薬はそういった類のものじゃないんですよ。

必要な期間はしっかり飲んで、調子が落ち着いてきたら減らして、やめていく。

そんな使い方ができるお薬なんですよ。

山本さん
山本さん

へ〜。

あんたがそこまで言うなら今回は飲んでみようかねぇ。

でも、次に来るのは2週間後なんだけど、その間になんかあったらと思うと…。

じんじん
じんじん

次の診察の日までに何かあったら私宛にお電話でご連絡ください。

薬のせいかどうかわからなくても、「気になるな」とか「困ったな」とか、

なんでもいいですよ。

山本さん
山本さん

わかったよ。

飲んでみるよ。

でも本当に電話するかもしれないけどいいの?

忙しいでしょ?

じんじん
じんじん

大丈夫ですよ。

皆さんちょこちょこお電話くださいますよ。

不安を抱えたままお薬飲むのは、もっと不安になるでしょうから。

山本さん
山本さん

うん。ありがとうね。

あんたの名前は…じんじん先生ね。

じゃあ困った時は相談するから頼むよ。

じんじん
じんじん

承知しました。

遠慮なく電話してくださいね!

お大事に。

じんじんの服薬指導ポイント

いつものことですが、とにかくしっかり話を聞くことです。

不満そうな表情の患者さんや、口数が少なそうな患者さんの場合、コミュニケーションの第一歩を踏み出すのは躊躇うかもしれません。

でも、困っておられるから病院に来ているはずなんです。

中高年男性患者さんの特徴(個人的見解)

これはじんじんの個人的な考えなので、異論もあると思いますが、中高年の男性患者さんは以下のような特徴があるような気がします。

  • 一生懸命頑張ってきた中高年の男性は病院でも医師以外には弱みを見せたがらない
  • 一度しっかりとした信頼関係ができたら、一気に距離が縮まる
  • (完全に人によりますが…)距離が縮まったら「今度酒でも飲みに行こう」と誘われる

もちろん患者さんと医療者の関係なので、一緒に飲みにいくことはできないのですが、これを言われた時は「あぁ、信頼関係ができたんだなぁ」と嬉しくなります。

中高年男性患者さんと接する時に気をつけていること

  • 患者さんのプライドに配慮
  • 「他の方でも〇〇とおっしゃる方は多くいらっしゃるんですよ」
  • 「私」が責任を持って対応します

一定の年齢を過ぎた男性患者さんの多くは、それまでの人生で様々な経験をしておられます。

管理職や責任ある立場を経験されていたり、事業をおこしておられたり。

そういった人生を歩んでこられた方が、年下の薬剤師から色々と言われるのは面白くないと思われるかもしれません。

患者さんではありますが、人生の先輩であることを忘れずに接するようにしています。

そして、同じような悩みや困りごとを持っておられる方がいるということをお伝えします。

「あなた(今回で言うと山本さん)は〇〇に困っておられるんですね」と言われると、

「そんなことはない!」と仰りたくなるようです。

ですが、「一般的に〇〇で、もしかしてあなたも?」という聞き方であれば

「うん。まぁ、そうだね」と認めてくださる気がします。

そして最後に「私」が責任を持ってお手伝いすることを伝えます。

病院や薬局という”組織”ではなく”私”です。

もちろん、組織に所属している”私”ではありますが。

生活の様々な場面を考えた時、大事な物事には「担当者」や「責任者」がいるものです。

それを”私”が担いますよということをお伝えします。

これは信頼関係づくりにとても重要なのではないでしょうか。

まとめ

今回お伝えしたかったこと、それは

患者さんに合わせた対応で、信頼関係づくりを!

ただこれだけですね。

長々と書いた割には、当たり前の一文でした。

これを読んでくださっている薬剤師さんには、日々の業務で参考にしていただける部分があると嬉しいです。

そして、患者さんの立場の方であれば、こんなことを考えている薬剤師がいるんだなと思っていただけるとありがたいです。

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