じんじんの服薬指導風景②

薬剤師

みなさん、こんにちは。

アスリート薬剤師のじんじんです。

昨日に引き続き、じんじんの服薬指導風景です。前回も記載しましたが、今回もお読みいただく際は以下の点はご理解ください。

  • プライバシーに配慮して、趣旨を逸脱しない範囲内で一部脚色等を施しています。
  • あくまでもじんじんの個人的な経験であり、すべての方に一般化されるものではありません。
  • 患者様お一人おひとりで状況は異なりますので、ご自身に置き換えて読まれる場合にはご注意ください。
  • 本記事の内容を参考にして頂いたり、実際に真似て頂いたりした際に生じた結果について、当ブログおよびじんじんは一切の責任を負いません。

それでは今回の服薬指導風景に参りましょう。

じんじんの服薬指導風景②〜統合失調症の20代女性のケース〜

20代女性の患者さんです。

統合失調症を発症して約3年。入院治療も経て、ここ1年くらいは外来治療を続けています。

症状の動揺や副作用の状況によって、お薬の内容が時々変わっています。

約2ヶ月前に副作用の軽減を目的に、幻聴などの症状を改善するためのお薬(抗精神病薬)を変更していました。

しかしながら約1ヶ月前の受診時には幻聴が悪化しており、ご本人・ご家族の希望もあって元のお薬に戻したところでした。

じんじん:お薬戻してみてどうですか?

患者さん:だいぶいいです。

じんじん:聴こえるのは?

患者さん:聴こえるけど、まあ大丈夫かな。

患者さんのお父さん:幻聴をゼロにするのは難しいんですか?

じんじん:聴こえるのをゼロにすることを治療の目標にされる方は多いです。でも、そうするとどうしてもお薬の量が増えてしまうんです。その結果として、副作用が強く出てしまい、日常生活に差し支えたりするんです。なので、われわれとしては、「聴こえはするけど、許容範囲」「聴こえるけど、自分のやりたいことができる」あたりを一つの目安にしてもらうようお伝えしています。

患者さんのお父さん:そういうものなんですね。

じんじん:〇〇さんは今のお薬でどう?

患者さん:聴こえるけど、仕事ができるようになっています。あと、友達と出かけたりもできています。

じんじん:友達と出かけるのは楽しい?

患者さん:ちょっと怖い気持ちもあるけど、楽しかった。

じんじん:副作用とか気になることは?

患者さん:うーん、ちょっと生理が遅れ気味かな。

じんじん:それもお薬の副作用の可能性がありますね。もう少し今のように仕事や友達付き合いが安定してできるようになったら、先生に相談してお薬を減らすことを考えてみましょう。

患者さん:そうですね。でも、今の薬になってからがこれまでで一番過ごしやすいです。

じんじん:一番過ごしやすいんですね。それはとてもいいことです。でも、それはお薬の力だけじゃなくて、〇〇さんご自身の頑張りの結果でもあるんですよ。仕事に行ったり、友達と出かけたりするのにも勇気がいりますよね。その一歩を踏み出したのは〇〇さんご自身なんですから。ぜひ、自信を持ってくださいね。

じんじんの服薬指導ポイント

  • 患者さんが仰った言葉や表現をそのまま使って共感を示す(じんじんの言葉に言い換えない)。
  • こちらからは極力「幻聴」という単語は使わない。患者さんにとっては「幻」ではなく、「現実」のこともありますので。
  • お薬は万能ではないこと、効果と副作用はバランスの問題であることを理解していただくサポートを意識。
  • 患者さんご自身の努力の結果として良い方向に進んでいるときは、そこを自覚していただけるよう、はっきりと言葉でお伝え(=患者さんの自己肯定感を上げることにも繋がる!)。

こんなことを意識しながら患者さんとお話ししています。特に今回はお薬の変更はなく、同じ処方内容で継続するケースでしたので、お薬そのものの説明よりも、その周辺の内容にフォーカスしました。

厳密には「それは服薬指導とは言わないんじゃないですか?」とおっしゃる方もおられるかもしれませんが、これがじんじんスタイルです。

お薬そのものの指導ではなく、お薬とそれを服用する患者さん、そして患者さんを取り巻く環境全体を見渡して、今伝えるべき事をお伝えするよう心がけています。

少しでもどなたかの参考になれば嬉しいです。

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