皆さんこんにちは。
アスリート薬剤師のじんじんです。
お土産を紛失して若干落ち込み気味のじんじんですが、いつまでも途方に暮れている訳にはいきません。
今日はまた服薬指導風景のご紹介といきましょう。
いつものお願いですが、ご注意いただきたいことを再掲させていただきます。今回もお読みいただく際は以下の点はご理解ください。
- プライバシーに配慮して、趣旨を逸脱しない範囲内で一部脚色等を施しています。
- あくまでもじんじんの個人的な経験であり、すべての方に一般化されるものではありません。
- 患者様お一人おひとりで状況は異なりますので、ご自身に置き換えて読まれる場合にはご注意ください。
- 本記事の内容を参考にして頂いたり、実際に真似て頂いたりした際に生じた結果について、当ブログおよびじんじんは一切の責任を負いません。
今日の風景は…
20代女性の過量服薬傾向のある患者さんです。
いつもだと、診断名(病名)もご紹介するのですが、今回は病名はあまり重要ではないので割愛します。
今回の患者さんとは、患者さんが10代の頃からの付き合いです。
もうかれこれ10年近い付き合いということになります。
以前から過量服薬(大量服薬)を繰り返していました。
過量服薬するお薬は睡眠薬だったり、不安のお薬だったり様々でした。
ただ、ここ数年は下剤の過量服薬が課題になっていました。
下剤の過量服薬の理由を尋ねると「痩せたい」「痩せなきゃいけない」と言うのです。
これだけを聞くと、摂食障害(拒食症)なんじゃない?と思われるかもしれません。
でも彼女はそうではありません。
しっかり食べますし、嘔吐もしません。
体重も一般的な同年代の女性とそう変わりません。
彼女は「飲んじゃおっかな〜」とか、「たくさん飲みたい気分なんだよね」というようなことをよく言います。
つい、「またいつものやつか」と思ってしまいそうになりますが、実際に過量服薬をして救急搬送されたこともある方なので、”アピール”で片付けることもできません。
ここ半年はそんな匂わせ発言もあまりなく、比較的安定していたのですが。
じんじんの服薬指導風景⑥〜過量服薬を繰り返す20代女性のケース〜
じんじん:こんにちは。〇〇さん、最近はどう?
患者さん:あー。じんじん先生、こんにちは。最近は普通だよ。
じんじん:今日はお薬は変更なしですね。
患者さん:そうだよね。だって大事なことは先生に言わなかったもん。
じんじん:大事なことって?
患者さん:えー、言わなーい。
じんじん:まあ、そう言わずに教えてくださいよ。
患者さん:えー、どうしようかなぁ。実は買っちゃったんだよね。
じんじん:買っちゃったって何を?
患者さん:内緒。
じんじん:いや、そこまで言っておいて内緒はないでしょ。
患者さん:うーん。下剤。
じんじん:あら、久しぶりにそのワード聞いたなぁ。いつ買った?
患者さん:先週だよ。
じんじん:なんで買ったの?便秘?まさかとは思うけど、まとめて飲もうとか考えてないよね?
患者さん:便秘はそんなひどくないよ。
じんじん:じゃあまとめて飲む?
患者さん:どう思う?
じんじん:まとめて飲むのはやめてほしいなって思うよ。
患者さん:じゃあ、私が買った下剤をじんじん先生に預けようか?
じんじん:なんで?使うために買ったんじゃないの?
患者さん:そうなんだけど、まとめて飲んだりしちゃうかもなーって思って。
じんじん:〇〇さんが、自分で管理する自信がないっていうなら、病院でじんじんが責任もって預かってもいいけど。でも、これから先もずっとそうやっていくの?買ったら預けるの?
患者さん:だって、まとめて飲んだりしたらダメやろ?
じんじん:ダメだよ。でも、それを自分でコントロールする練習をしなきゃいけないんじゃない?
患者さん:できるかなぁ。
じんじん:じんじんは今の〇〇さんならできるって思うよ。だってここ数ヶ月は過量服薬してないし、困った時にちゃんと相談してくれるようになってるでしょ。
患者さん:う〜ん、でも自信ないっていうか…。
じんじん:じゃあこうしよう。まずはじんじんは〇〇さんを信じて、ご自身で持っててもらうことにする。もし、〇〇さんが、「もう無理」ってなったら、その時に改めて持っておいで。
患者さん:じんじん先生に「信じる」とか言われたら頑張るしかないかな。これまでみんなに「どうせ我慢できなくなって、まとめて飲むやろ!」って言われてたけど、じんじん先生は「信じてみる」って言ってくれたし。
じんじん:じんじんが〇〇さんを信じようって思えたのは、〇〇さんのこの数ヶ月の頑張りを見てたからだよ。だから、〇〇さんが自分で勝ち取った”信頼”だよ。
患者さん:そんなもんかなぁ。でも、そんなふうに言われたら、ますますまとめて飲めないね(笑)
じんじんの服薬指導ポイント
- 患者さんを信じてみる。
- もちろん何の根拠も配慮もなく「信じる」というのは、「放ったらかす」に近いのでダメ。
- 患者さんを信じることにした根拠となった患者さんの行動を言葉にして伝える。
- でも、無理な時は頼って良いことを保証する。
基本的にいつもこんなパターンだと思います。
もちろんそれでも裏切られることはあります。
でも、それで患者さんを責めても何も前には進みませんし、患者さんを信じることをやめても何も改善しないと思います。
じんじんは患者さんが裏切りにくくなるように、普段の関係作りをものすごく大事にします。
”普段の信頼関係”これが最後の最後のブレーキになると信じています。
また裏切られるかもしれません。
先輩薬剤師さんやお医者さん、看護師さんなどからは「甘い!」と言われるかもしれません。
でも、じんじんは今日も明日も患者さんを信じてみたいと思っています。
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